月夜に笑った悪魔
チクリとした痛みを感じたあと、体を離す彼。
抱きついていたのに、力が抜けたせいで腕は簡単に解けた。
上気する顔。
乱れる息。
キスしたわけじゃないのに……こんなに乱されている。
私だって……いつか暁の弱いところ見つけてやるんだから。
必ず見つけて、仕返ししてやる……っ。
「……その顔、すげぇ唆る」
暁は私を見おろして、妖しく笑う。
溢れ出す色気。
あまりの色っぽさに心臓がドキリとして、目が離せない。
どうして……そんなに色気があるのか。
やっぱり、この色気で16歳とは思えない。
いつまでも素肌に触れている大きな手。
彼に見とれているとその手はお腹あたりから、滑るように上へと動いた。
「あぁ、そうだ。カラダ、拭いてやろうか」
落ちてくる声。