月夜に笑った悪魔


「だ、だ、だ、大丈夫……っ!!」


長い指がギリギリのラインに触れるからはっと我に返り。
私は暁に大きな声で返した。


「じゃあ俺のカラダ触る?」
「な、なんでそうなるの!?」


「触れよ、美鈴」


大きな手は私の手を取り。
無理やり、彼の胸へと触れさせられる手。



ドキドキと伝わってくる心音。
……私と同じように、早く動いてる。


ドキドキしてくれてる。




「や、やめろバカっ!!」


それが嬉しくて恥ずかしくて……。
私は彼をどけると起き上がり、乱れた入院着を整えた。



もう解かれたりしないように、ぎゅっと強くリボン結び。


……熱い。
暁といると、心臓がいくつあっても足りない。


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