月夜に笑った悪魔
その、すぐあとのこと──
荒々しい音をたてて、開いたドア。
「りょーかい」
私の声に、答えるかのような返事。
目を開ければ、見えた人物は……黒髪をオールバックにした、暁。
……え?
ほ、本物……?
口角を上げる彼と確かに目が合う。
私の上にまたがっている男性は、この状況を理解できていないようで、動きをとめて呆然としてる。
暁がゆっくり男性に近づくと、やっと男性ははっと我に返って……。
「い、一条組……!?」
急にガタガタと体を震わせる。
……一条暁が何者だか、わかったみたいだ。
「残念、もうタイムオーバー」
暁はこっちまで来ると、男性の胸ぐらを片手でつかみ上げ、拳を振り上げると頬を思いっきり殴った。
聞こえてくる、鈍い音と苦しそうな声。
それは、何度も何度も連続で耳に届く。
飛び散る血。
暁にもその血がべったり。
や、やりすぎなんじゃ……。
私がそう思った時に、
「暁!そこまでよ!」
この場へとやってきたのは、吉さん。
吉さんは、3人の男性を引きずっていた。その3人は、傷だらけで……。