月夜に笑った悪魔
「こっちもクスリを買ってたやつらを片づけたから、あとは組員呼んで運んでもらいましょう!」
吉さんを見た暁は、ピタリと動きをとめて。
ぐったりしている男性を離し、床へと落とした。
「美鈴ちゃんは大丈夫?ケガしてない?」
私に向けられる視線。
小さく頷けば、吉さんは引きずっていた男3人を乱暴に離して。
「暁、美鈴ちゃんのことちゃんと見ててあげるのよ。あたしはあっちに連絡してくるから」
すぐに部屋を出ていった。
吉さんがいなくなると、暁は袖で自分の頬についた返り血を拭う。
手についた血はズボンで拭いて、
「ほら」
いつまでも動けないでいた私の背中を支えて、起き上がらせてくれた。
「よくできました」
彼の上がる口角。
私の頭の上に置かれたのは、大きな手。
……褒められるようなことはしてない。
「……助けてくれてありがとう。それから……ごめん。シゴト、なにごともなく無事に終わらせるはずだったのに、こうなっちゃって……」
「こいつら見つけられたんだから、それでよかったじゃねぇか」
謝れば、優しい言葉を返してくれる。