月夜に笑った悪魔
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「美鈴、ちょっといい?」
4時間目の授業終了後、すぐ私に声をかけてきた人物にびっくりした。
笑顔で声をかけてきたのは、ショートカットの女の子。
この子は高1の時に友だちだった瀧本 由美(たきもと ゆみ)。
前にケンカをして、私の変な噂を広めた張本人。
今までずっと私のことを無視していたくせに、今さらなんの用があるのか。
「私、あの人から美鈴に渡すように預かったものがあるの」
なにも答えないで鞄を持ってこの場から立ち去ろうとすれば、聞こえてくる声。
……“あの人”?
私に渡すように預かったもの?
思わず足をとめて。
私は由美を見ると、彼女はにこりと笑った。
「あっちで話そ?」
わかりやすい作り笑い。
いったいなにを考えているのかわからない。わからないけど……。
「……わかった」
私は気になって、2人で教室を出た。