月夜に笑った悪魔


お昼前には上がっていた雨。
階段を上って、向かったのは屋上。


由美と2人きりになれば、彼女はなにかを差し出してくる。


差し出されたものは、封筒で。
それは……手紙だった。




じっと見ていれば、封筒に書いてある文字に目が入る。
“美鈴へ”と綺麗な文字で書いてあって……その文字を見た瞬間、心臓がドクリと音を立てるのがわかった。


私は、この文字を誰が書いたものだかわかる。
……よく見ていたから、知っている。





これは──和正からの手紙。




「今日の朝、学校の近くをスーツを着た男がうろうろしててね、不審者かなーって思ったらあとから思い出したわ。
その男が美鈴の援交相手だって」


いつまでも手紙を受け取らない私に、由美は強引に私にそれを手渡した。


由美は、和正の顔を知っている。
友だちだった頃、私が写真を見せたから。



耳に届く言葉に、心臓がドクドクとはやく動く。



……和正が今日の朝、学校の近くに来てた?
な、なんで……?

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