僕と名の知らない君は、嘘つきから始まった
彼女は、微かに笑顔を浮かべたその姿勢のまま、僕の目を見つめた。
その瞬間、何故か僕の動き続けていた灰色が動きを止めて。
(え、?)
意味の分からない現象に僕は戸惑いながら、彼女の目を見つめた。
そして。
「………ほら、私は大丈夫だよ」
瞬きもせずに僕の顔を見ていた彼女は、ふっと息をついて口を開いた。
(固まってない…!)
今確かに彼女は僕を見たのに、彼女は固まらなかった。
こんな事はあるのだろうか。
これは、奇跡の出来事だ。
余りの驚きで一瞬身体が固まってしまった僕は、次の瞬間、彼女を思い切り抱き締めた。
「莉衣、大好きだっ…」
「、私もっ………!」
彼女を固まらせなかった事の安心感と驚きと嬉しさと幸福感で、僕の目からは涙が止まらなくて。
疑ってもやはり怖かったのだろう、莉衣も嗚咽を漏らしながら僕を抱き締める力に何度も力を込めていた。
メドゥーサと人間の女性が両思いになると、好きになったメドゥーサとその他のメドゥーサがその人を固める事はほとんど出来ない。
この日以来僕の人生は大きく変わり、そこには常に、“姫野 莉衣”という1人の人間の存在があった。
その瞬間、何故か僕の動き続けていた灰色が動きを止めて。
(え、?)
意味の分からない現象に僕は戸惑いながら、彼女の目を見つめた。
そして。
「………ほら、私は大丈夫だよ」
瞬きもせずに僕の顔を見ていた彼女は、ふっと息をついて口を開いた。
(固まってない…!)
今確かに彼女は僕を見たのに、彼女は固まらなかった。
こんな事はあるのだろうか。
これは、奇跡の出来事だ。
余りの驚きで一瞬身体が固まってしまった僕は、次の瞬間、彼女を思い切り抱き締めた。
「莉衣、大好きだっ…」
「、私もっ………!」
彼女を固まらせなかった事の安心感と驚きと嬉しさと幸福感で、僕の目からは涙が止まらなくて。
疑ってもやはり怖かったのだろう、莉衣も嗚咽を漏らしながら僕を抱き締める力に何度も力を込めていた。
メドゥーサと人間の女性が両思いになると、好きになったメドゥーサとその他のメドゥーサがその人を固める事はほとんど出来ない。
この日以来僕の人生は大きく変わり、そこには常に、“姫野 莉衣”という1人の人間の存在があった。