僕と名の知らない君は、嘘つきから始まった
彼女は3年程前からその病気にかかり、光と闇の区別が何とか出来るだけで、僕の顔や景色を見る事は不可能だった。
だから、彼女は手術をする事を心待ちにこの病院に入院していたわけで。
けれど、僕としては盲目の彼女と居る事がとても有意義な時間となっていた。
彼女の胸まで伸びた茶色のストレートの髪に、二重で茶色い瞳、そして笑うと出るえくぼ。
人間と接する機会が極端に少ない僕にとって、人間と会話をする事も人間の目の色だったり表情を見る事も無かった為、それらは全て新鮮な経験で。
けれど逆を言うと、それは彼女が盲目だから出来るのだ。
莉衣は僕の事が見えないから、メドゥーサの子供の証となる、灰色で自分の意思と関係なしに蠢く僕の髪の毛や、僕と目を合わせて固まってしまう事も無い。
それが僕にとっては嬉しくて、彼女と過ごしている時間は、まるで自分も1人の人間になった様な感覚になって。
彼女も、僕の事が見えないながらに僕との会話を楽しんでくれて、当たり前に僕が人間だと思っていて。
そうやって、最初はお互い知り合いから始まったのに、いつの間にか僕はほとんど毎日病院へ通って彼女と話す様になり。
敬語を使う事もなくなった僕らは友達になり、1つの板チョコを分け合って食べる程の仲になり。
だから、彼女は手術をする事を心待ちにこの病院に入院していたわけで。
けれど、僕としては盲目の彼女と居る事がとても有意義な時間となっていた。
彼女の胸まで伸びた茶色のストレートの髪に、二重で茶色い瞳、そして笑うと出るえくぼ。
人間と接する機会が極端に少ない僕にとって、人間と会話をする事も人間の目の色だったり表情を見る事も無かった為、それらは全て新鮮な経験で。
けれど逆を言うと、それは彼女が盲目だから出来るのだ。
莉衣は僕の事が見えないから、メドゥーサの子供の証となる、灰色で自分の意思と関係なしに蠢く僕の髪の毛や、僕と目を合わせて固まってしまう事も無い。
それが僕にとっては嬉しくて、彼女と過ごしている時間は、まるで自分も1人の人間になった様な感覚になって。
彼女も、僕の事が見えないながらに僕との会話を楽しんでくれて、当たり前に僕が人間だと思っていて。
そうやって、最初はお互い知り合いから始まったのに、いつの間にか僕はほとんど毎日病院へ通って彼女と話す様になり。
敬語を使う事もなくなった僕らは友達になり、1つの板チョコを分け合って食べる程の仲になり。