僕と名の知らない君は、嘘つきから始まった
そしてついこの間、僕らはお互いに同じ想いを持っている事に気付き、それを共有して。
僕達は、お互いの家族には言わずに付き合う事になった。
それからの時間は、もう夢の様で。
心の何処かでは自分の正体を言わなければという念もある中、少しでも長くこの幸せを噛み締めていたくて。
僕達は、来る日も来る日も共に過ごし、共に笑い、共に2人だけの時間を楽しんだ。
けれど、そんな幸せな時間は失われた。
一昨日、彼女は視力を回復させる手術を受けたのだ。
経過は順調で、術後はぼやけているらしいけれど、日を追う事に段々焦点が合ってきて、全てのものがはっきり見えるようになるらしい。
それはつまり、僕のこの姿も見られてしまうわけで。
蛇の姿は無いものの、蛇の様に動く僕の灰色の髪も、それを隠す為に季節を問わずいつも被っているニット帽、そして、目を合わせないようにするサングラス。
傍から見ると不審者の様な、怪しい僕の姿を見られてしまう。
それより前に、僕が彼女の事を固めてしまう。
だから、僕は。
「……莉衣?」
今日、お互いの為に、というより彼女の為に別れる事を伝えに来た。
僕達は、お互いの家族には言わずに付き合う事になった。
それからの時間は、もう夢の様で。
心の何処かでは自分の正体を言わなければという念もある中、少しでも長くこの幸せを噛み締めていたくて。
僕達は、来る日も来る日も共に過ごし、共に笑い、共に2人だけの時間を楽しんだ。
けれど、そんな幸せな時間は失われた。
一昨日、彼女は視力を回復させる手術を受けたのだ。
経過は順調で、術後はぼやけているらしいけれど、日を追う事に段々焦点が合ってきて、全てのものがはっきり見えるようになるらしい。
それはつまり、僕のこの姿も見られてしまうわけで。
蛇の姿は無いものの、蛇の様に動く僕の灰色の髪も、それを隠す為に季節を問わずいつも被っているニット帽、そして、目を合わせないようにするサングラス。
傍から見ると不審者の様な、怪しい僕の姿を見られてしまう。
それより前に、僕が彼女の事を固めてしまう。
だから、僕は。
「……莉衣?」
今日、お互いの為に、というより彼女の為に別れる事を伝えに来た。