愛は惜しみなく与う②
「さーーーてと!作戦会議でもしよか」
そういってとりあえず杏ちゃんの家へ向かった。
何度見ても大きな立派なマンション
オートロックを杏ちゃんは解除する。管理人さんともみんな仲良くなり、顔パスとまではいかないが、それなりに融通を利かせてくれるようになった。
「おかえり」
「おっちゃんただいまー」
杏ちゃんは元気に管理人さんに挨拶する。続けて俺たちも。
二重ロックをくぐり抜けて、ようやくエレベーター。
5人で乗ってもゆとりあるエレベーターで、泉の家にどうやって行って、どうやって泉に会うかを話していると、5階でエレベーターが止まる
パッとドアの方を見ると、見覚えのある男の人がいた
以前、杏ちゃんの家に行ったときに、オートロックを開けてくれて、親切にマンションへ通してくれた男の人だった
8階に住む女の子の友達?
そう聞いてきたのも覚えてる
だって、なんだか違和感があったから
そして違和感は確信に変わる
ほら!詰めろ!と杏ちゃんは朔と響を押して、男の人がのるスペースを空けた。
「あら、間違えて上に行くやつ押しちゃったね。下に行きたいんだ。ごめんね」
そう笑顔で男の人は言った
杏ちゃんは、はーいと言い、閉じるのボタンを押した
……やっぱり、面識ないよね
朔や響、新もこの人を覚えていなさそう