愛は惜しみなく与う②
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「なぁ、トイレ行きたいねんけど」

「…今部屋出たら、起きてるのバレるぞ?」


悠馬の言葉で渋る
そうか…あたしまだ眠ってるっていう設定か
拉致られてからどれくらい経ったのか。


それにしても、この男
あたしが起きているのも気にせずに、金城さんと呼ばれた人にも言いにいかない


なにが目的なのか


「聞きたいことあるなら聞いていいぞ?もう少ししたら、あんた自由に話すこともできないだろうから」


むかつかなぁ
そんなあたしをみて、クスっと笑う


「ほら、今も怖がるところだぞ?何されるのー!あたし!ってなるところだろ」


しまった、また反応しそびれた


「そんな反抗的な目してちゃ、あんたが烈火に入った女ってバレるのも時間の問題だな」



「だーーー!うるさいなぁ!もういい!あたしが烈火はいった女ってやつや!探るの辞めてくれる?」


胡散臭い男
鎌かけられてる感じがすごく嫌


「ハハハ!観念するの早いね。別に俺から言うつもりないから安心して。あんた明日にしか起きないと思われてるから、金城さんくるの明日だと思うから」


…読めない男やな
その金城さんとやらに、チクる気はなさそう
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