愛は惜しみなく与う②
届く!!
塀のてっぺんに指がかかり、指の力で上がる。
肩が…
治してもらったばかりの左肩が痛んだが、アドレナリンって凄いと思う
「杏ちゃん!!何してるの!」
少し怒った慧の声も聞こえたけど、もうここまで動いてしまったから、仕方ないし、戻ることもできひん
「ごめんな!」
そう言って、敷地内の芝生に下りる
あー膝ジンジンした。足の裏も!
飛び降りて、衝撃が足から膝へかけて、ピリリと伝わった。
ガヤガヤと声も聞こえ、近くに何人か人の気配がする。バレないように、あたしは離れに向かう
だって…
聞こえてんもん
『組長の息子が帰ってきて、離れにいる!あっちが片付いたら、一緒にまとめて親子を片付けるぞ!!』
そう言って数名…あれは4人くらいか?足音と声がした。
この状況でこの家に飛び込むのは無謀やと思ったけど…そんなこと聞いたら止まってられへんかった
泉…どこおるん!
動きやすいようにパンツできてよかった。屋敷の裏側に身を潜めて様子を伺うが、人の姿が通り過ぎていった
朔がゆうてた
あたしの勘は当たる
東堂と少し似てる敷地