愛は惜しみなく与う②
離れらしきところに辿り着いたけど、人の気配が全くない
いたたた
思いっきりすりむいた
もう。最近怪我ばっかやな
壁沿いに歩くと、勝手口のようなドアを見つけた。
中を覗くが、人はおらず灯りもついていない
おかしいな。勘はずれたか?
そう思ってもう一度中の様子を確認しようとした時
気配がした
自分に向けらるピリっとした殺意
一歩遅れたか!?
後ろからドンと押されて壁に顔をぶつけそうになる
そしてキラリと光る細いものが、右目の視界に…
突然気配がした。それでほんまにワンテンポ遅れただけや。やのに、後ろを取られた
「まさか、女の子だとは思いませんでした」
あたしの背後にきた人物は、驚いたような声でそう言った
「まさか、こんな手荒な歓迎されるとは、思わへんかったわ」
落ち着いてる男
それに比べて、あたしの心臓は口から出そうなくらいドクドクと音を立てる
少し押さえつける拘束は緩んだものの、しっかりとその凶器をこちらへ向ける。
キラリと光るのは、多分アイスピックのようなもの