愛は惜しみなく与う②
そして男は言う
「……女性にナイフ向けられたのは、初めてかも知れません」
4人には内緒にしてたけど、護身用に小さいナイフを持ってきた。まさか咄嗟に出してしまうことになるなんて思わへんかったけど
男の殺気にやられて、自然とナイフに手を伸ばしていた
間一髪で、ナイフを男の腹に向けて構えれた。
体勢的には不利やけど、牽制することは出来る
「……何か用ですか?迷子ってわけでもなさそうですけど」
「迷子っちゃ迷子や。どっから入ってやろうかと思って考えてたんや」
後ろを振り返ると男と目があった
どうだろう。30くらいの落ち着いた男の人は、じーーとあたしを見た後に、パッと手を離してくれた
おっとっと
突然押さえつけられていたのから解放されて、よろける
その隙に男の腕が伸びてきた
でも、あたしがそれを警戒してないわけないやん!!
伸びてきた男の手を取り、後ろに素早くまわす。
ついこの前…あたしが金城にされた技や!!
こんなことで役に立つなんて…
ちょっと悲しい
「えらい攻撃的やん?話聞いてくれてもええんちゃう?」
「んー…不法侵入には変わりありませんから」
にこりと笑顔で言われる