愛は惜しみなく与う②
部屋の前で突っ立っていると、ゴトウが出てくる


「い、泉坊ちゃん!!お元気そうで何よりです」

「はぁ坊ちゃんってやめろよ」

「坊ちゃまの方がよろしかったですか?」

…悪化してんじゃねーかよ


もういい。そう言うと、ゴトウは笑ってた
本当に他人に対してはとても冷たいのがこの男。ただ親父の周りの人間には、、とても優しい。優しいのか?まぁ頼りになる奴

でも優先順位が親父が1番だから


昔はゴトウにイライラしたこともあったっけ


「坊ちゃん?組長は中におられますが…私もついていきましょうか?」


「いや、いいよ。自分から来たんだ。大丈夫」


大丈夫。きっと大丈夫
親父が薬をしてなかったとして、勘違いして、ひどいことを言った


あの日のことを謝れるかは別として


大丈夫だ

会う準備はしてきたから


「あまり刺激なさらないようにお願いします」


ゴトウのよく分からないお願いを軽く流して部屋に入る


間接照明だけついているだだっ広い部屋は、ほんのりと明るくなっている



……え?
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