愛は惜しみなく与う②
部屋の奥にポツリとベッドが置いてあり、そこに親父がいた


久しぶりにみる親父は、少し痩せていて、前の面影がなかった


「親父…」


怖い。なんだ?どうしてこんな姿なんだ?
そこに居るのは確かに親父だ。でも弱々しい姿は、、親父とは思えなかった


「お前は相変わらず挨拶もできないのか」


口調は変わらず上から目線の威圧感ある声だが、姿はとても…
 

「話があるから来たんだろ?先に言え」


「その前にまず、あんたの話から…なんでそんな」

そう言葉を続けようとしたが、睨まれて黙る。
先に話せ。そう言われた


俺はなにを話しに来た?あ、そうか。紅蓮の…


「紅蓮が仲間に手を出した。あんたが…薬に手を出したって…取り返しのつかないところに来てるって…」


あれ?なんでうまく話せない?
さっき親父が薬はしてないって聞いたからか?紅蓮のこと、親父の今までのこと…

すべて言ってやろうと思ったのに



「それだけで来たのか?」


「ちがう…」

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