愛は惜しみなく与う②
俺はただ黙っていた

久しぶりだ、こうやって会話をするのは。だからとてもぎこちなく感じている

ただ俺は、怒ってたのか、憎んでいたのか、よくわからない。だから会いたくなかったのかもしれない


「スコーピオンと関わりがある女ってだけで、ろくでもないだろうがな」


親父の言葉にイラッとして言い返してしまいそうになったが、ぐっと堪える。
だって俺がここでキレてもなんの意味もないから


「ふん。少しは我慢できるようになったんだな」


親父はそう言い、少し近くに寄れ。そう言った

一歩近づくにつれて、親父の顔がより鮮明に見える。すこしシワも増えた?

頬がこけている


肩幅も狭くなったか?


そんなに歳でもないのに


俺はどれくらいの間、この人と向き合わなかったんだろう



「話に集中できてないな?お前の話は後回しにしようか。聞きたいことがあるなら聞け。答えを渋ることはない。全て話してやる」


口調は変わらないのにな

弱々しく感じてしまう。



「……病気か?」


1番初めにそれを聞いた
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