愛は惜しみなく与う②
お前のことだから、薬のことを聞いてくるかと思ったよ。そう笑った


「病気だ。3年前くらいに発覚した」

「なんのだ?」

「胃癌だ」


胃癌…癌が見つかって3年?
早くに見つかったのか?それさえも分からない
癌って…治るのか?


「今はステージ4だ」

「それは酷いのか?」

「あぁ、もう1年前に本格的な治療は辞めた。かれこれ1年まともな治療をしていない。それがこのザマだ」


鼻で笑い少し手を広げてみせた

俺は、どう反応すればいい?癌の知識はほとんど無いけど、治療しても治るか治らないかとか、そんなんじゃないのか?
 

「黙るなよ。時間がないんだ。聞きたいことは聞いておけ」

「時間がない?どういうことだ?」

「そのままの意味だ。今普通に話してるが、無理をしてるんだ。お前に割く時間は少ないってことだ」


減らず口は相変わらずだが、心はザワザワしたままだ


「治療…なんでしないんだ?」


「これでも組長だからな。組長が組に居ないでどうする」


「待てよ。組のみんなも知ってんだろ?」


「言うわけないだろ」


は?
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