愛は惜しみなく与う②
身体中の力が抜けた


「じゃあなんで、こんなに蕪木組が薬さばいてるって噂が広まった?止めれなかったのか?」

「それどころじゃなかった」


親父は少し身体を起こしてこちらに身体を向ける。


「ある日血を吐いてな。特に気にしてなかったんだが、食欲もなかったし、おかしいとは思ってた。でもまぁ…ストレスだろうと。お前が家を出るとか騒いでた時期だったからな」


「そんなのストレスに入らねーだろ」


「その時はな。ガキの戯言だとしか思わなかった。でもまぁ……考え方は変わった。お前に謝る気もさらさらないがな」


……自然に話せてる


まさかこんな日が来るなんてな


でも



「癌は…もう治らないのか?」


癌の治療はとてもしんどいと聞く
胃癌だどんな症状でどうなるか、俺には分からない


でも



「ステージ4は、もうほぼ手遅れってことだ。成功率の低い手術を受けるか、死ぬかだな。気づいたときには、もう酷かったらしい。癌だと自覚してから、症状は悪化した」


その後に話を続ける
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