愛は惜しみなく与う②
親父やゴトウにもいつもと変わらない態度で、いや、いつもよりもちょっと、やさぐれた態度の杏が居てくれて
とても家が心地よく感じた
次第に救急車のサイレンが大きくなってくる
「組長、こちらへ」
ゴトウは親父の身体を支えてソファに座らせた。杏は足が痺れた!そう言って立ち上がれないのか、足をトントンと叩いていた
隣にしゃがむ
「ありがとう。杏がいたから俺頑張れたよ」
「へ?ほんま?うんうん!ええこっちゃ!泉、ええ顔してるわ!」
ヘラヘラと笑ってる
あぁ…好きだな
「あんた、ありがとな。まだ死んでないってことは、あんたのおかげだ」
親父は少し小さな声で目を閉じたまま話し出した
それに対して杏は
「どういたしまして!でも、あんたちゃう!杏や!」
そう言う杏をみて、親父は笑った
「やっかいな子だぞ」
そう笑顔で言った
それはきっと俺に向けた言葉だ
「望むところだ」
親父が運ばれる前にそう言う
病院にはゴトウが付き添う