愛は惜しみなく与う②

「え?なに?」

「いや、ごめん。怪我ないか?」

うん。そう杏は頷くが何がなんだか分からない様子。
ほんとに、あんなに周りを見る力があって、いつも誰よりも異変に早く気づくのに…

楽しいことがあると、周りが見えなくなるのは困ったものだ



まぁこんな場所で楽しめる杏がすごい


「お、重いよな!ごめん!」


少し杏は焦りながら俺の上からどいた。
まぁ重くはないよ。杏は軽すぎるくらいだ

まだキョトンとしてる杏を置いて、俺は朔の元へ行く




「俺の勝ち」




長い沈黙の後、ようやく理解したのか、杏はこれでもか!と頬を膨らませて走ってきた



「泉、せっこーーーー!」



大きな声で


ものすごい重々しい空気だったのに。杏が笑って、杏の声が響いて



蕪木組に久しぶりに笑顔が見えた



「若!こんな状況でいちゃつくな!」

「嬢ちゃん、、今のは若が悪い」


やいやい野次を飛ばす組員に、杏は、「せやろー?あたし負けちゃうよな!」

と同意を求めている


いや、馴染むの早すぎるだろ
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