愛は惜しみなく与う②
携帯掻っ攫って逃げようとしたけど、こんなこと言われたら足が止まる
「で?止めてって何?助けてって事?あたしが助けてほしい立場やねんけど?」
少し気まずそうにする悠馬に声をかける
金城さんの気持ちがわかる?
わからへんわ
「金城さんって奴のこと知らんから、気持ちなんか分からへんわ!あたしに助けて言うのはお門違いやで」
「…だよな。わりぃ、忘れろ」
早く逃げろとでも言いたげに、手であたしをあしらった
この教室には、あたしとこの男だけ
あたしはこの男の携帯も頂戴して、手足の自由もきくようになった。
目の前の悠馬は、武闘派ではないといい、あたしの一発をくらってフラフラ。
余裕で逃げれる
でもなんやろな
あたしもちょっと頭ぶっ飛んでるんかもしれん
はぁ
背を向けた悠馬の後ろに立つ
昔からこういう顔するやつに弱い
志木もそうやった。
大丈夫じゃないのに、大丈夫と言う
「ほれ、まだ時間あるから話してみ。聞くだけ聞くから」
あたしなんで椅子に座ってんねん
目の前で、悠馬が嬉しそうな顔をした
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