愛は惜しみなく与う②

「喝って…お前の圧力に押されて悪化するかもしれないから、騒ぐなよ?」

「失礼な!流石に泉のお父さんって分かってたら、そんなことせんわ!」


人を空気の読めへん奴みたいに言うな!


「杏は、身近な人で、癌の方がおられたんですか?」

「うん。そう。志木のお父さんが癌やって…」


みのりさんと志木のお父さんに、本当の子供のようにあたしは可愛がってもらった。

志木のお父さんは癌を見つけるのが遅れて、見つけた瞬間から、進行度は最悪のレベルだった。


でも何が何でも生きる


そう思って、手術や入院、辛い病院生活も耐えていた


あたしにとっても大事なお父さん




「大丈夫。いい病院探そう。しっかり検査もして、信頼できるところ。病院探しもすごく大事なんや」



そう


回復していたのに



志木のお父さんは、他に転移している小さな腫瘍を見逃された


そしておかしいなと気づいた時には遅かった



数年前に、他界した





「気合が大事!泉も…頑張ってって言ってあげてな」


そうしたらきっと…頑張れるから
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