愛は惜しみなく与う②


「おい、朔。タバコいく?」


杏ちゃんにボロカスに言われて、少し魂が口から出ている朔に声をかける

あぁとフラフラ立ち上がる

よっぽど厳しかったんだな、杏ちゃんの指導は 


「大丈夫?魂抜けてるよ?」

「まじであいつ、女じゃねー…」


たしかに。それは俺もたまに思う時がある。
女の子にしては、ちょっとね。
机蹴り飛ばしたり、資料集で人の頭叩いたり…
ましてやキンタマなんて言わない


「なんで朔も、すぐ忘れちゃうのかな?」

「勉強なんて面白くない。覚える気にもならない」

また小学生みたいなこと言っちゃって。
困るの朔なのに…

屋上に向かいドアを開ける


だんだん暑くなってきた



「このテストが終わったら、夏休みもすぐだね」

「あぁ。このテストが無事終われば、の話だけどな」


危ないのは朔と響でしょ?
響は泉が教えたらちゃんと勉強するから、本当に心配なのは朔だ


「今年も夏休み特別補修に呼ばれないようにね」


去年朔は、半分くらい夏休みが減った

泉にはブチギレられて、しっかり補修を受けてこいと言われて拗ねていたっけな
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