愛は惜しみなく与う②

「今日のところは引き下がってやる!覚えとけよ!」


「おとといきやがれ、ばーか」


なんのために後つけてん。一瞬で帰っていったやん。泉達が言ってた通りや。

帝王は放っておいても大丈夫って


目瞑ってでも勝てるわ


ふぅ。帰ろう


ちゃうちゃう。帰ったらあかん。危ない。紗羅ちゃんの存在忘れてた

路地にちょこっと顔を出すと、紗羅ちゃんは膝を抱えていた


「ごめん、怖かった?大丈夫?」

「あ、杏ちゃんは無事ですか?」

「無事無事。無傷。なーーにもされてない。とりあえず変な奴もおるし帰ろう?」


紗羅ちゃんの腕を引いて歩く


普通女の子やったら、こうなるんか。怖いよな。あたしの普通はどこへいったんや……


「杏ちゃんは、怖くないの?」

「まぁ…慣れてるし」


あたしがそう言うと、隣を歩いていた紗羅ちゃんは、くるりとあたしの前に立ち、進路を塞ぐ


ん?と思ったら、あたしの両手を握って、大きな声で言った



「杏ちゃんだって、女の子だよ!!危ないことしちゃダメだよ!」



う、うん
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