愛は惜しみなく与う②
夏休みって何したらええんやろ。
あたし何してたっけ?
うーーーんと頭を捻ってみるが、特に浮かばない。
あぁ、なんか長期休みは、常に喧嘩売られてたイメージ
海とか行ったら終わり
せっかく行ったのに、喧嘩して終わり。
今年はのほほんと出来るかな
「杏ちゃん?聞いてる?」
「へ?!あ、ごめん、考え事してた」
耳元で声がして、ビクッと振り返ると、慧の顔がドアップ
わわわ!びっくり
「もう!どこから聞いてなかったの?」
「え?どこからって、何も…」
最初からー?そう慧はプンプンしている。そう言えば、なんか必死に話してたかも?
「テスト終わったら夏休みでしょ?旅行行こうって話してたの!」
「旅行?」
「そう!泉の前の、烈火の総長が、民宿を経営しててね。そこ貸し切って遊びに行こうかと」
ほうほう!楽しそう!旅行かーー!久しぶりや
烈火の前の総長…少しだけ聞いたことあるけど、ちゃんと話したことはない。
あたしが拉致られて、そのあと寝てた時に、前の総長さんも一緒に車に乗ってたらしいいけど
「海斗さんって言うんだよ?前の総長さんは。杏ちゃんもぜひ紹介してって言ってたの!」