愛は惜しみなく与う②

そっと手を引いて、売り場から離れる


「ちょ、慧と朔は?」

「ほっとけ。あいつらに選ばせたらいいだろ」


いや。男2人で水着売り場にいるって、なかなかやばくない?特にあの2人目立つのに

そうは言ってもあたしの手を引く泉の歩みは止まらず、少し離れたところにあるベンチに座らされた


よくわからずボーッとしていると、その隣に泉が座る


「飲め」

「あ、ありがとう」


手渡されたのはあったかいミルクティー。こんな季節にあったかい飲み物まだ売ってるんや。


「顔色が悪い。あいつらが余計なこと聞いた」

「え、別に大丈夫やで!あたしこそごめん。ちょっと目眩しただけ」


ほんとか?少し下を向くあたしの顔を泉が覗き込む。そしてあたしは、顔を逸らしてしまった



泉には、嘘を見抜かれそうだったから


「……大丈夫ならいい」


すっと顔を離して、それ飲んでから行こう。そう言って泉は、隣で目を閉じた


はぁ

何してんにゃあたし。気を抜いたからや。心配かけるつもりないのに

ミルクティーを口に入れる
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