愛は惜しみなく与う②
あたたかいものが身体に広がる

やめよう。思い出すのは。
あたしにも、みんなにも良いことはない。


あたしが飲み終わるまで、泉は黙って隣にいてくれた



「ありがとう。そろそろ戻ろ」

声をかけると、あぁと呟いて立ち上がる。それと同時に大きな声が聞こえた


「あーーーん!いずみーーーー!」


朔…こんな人が多いところで、大声で名前言うのやめてくれる?
 
あのバカ…と泉は呟いていた

ふふ


「うるさいし、戻ろ!」


泉の手を引いて走る。元気出た。あんまり考えたらあかん。今はみんなで買い物に来てるんやしな!

転けるなよと泉が笑ったのを、あたしは聞き逃さなかった


 
「あ!!いた!!」

慧も大きな声を出す


「ごめん!ちょっとトイレ行ってた!」

「もーーー!俺たち2人で女物の水着眺めてたから、怪しまれたんだからね?」

「ごめんって。ええのあった?」


そりゃ男2人で水着売り場は…うくわな
朔もブスっとした顔をしていた


「あ、そうそう!これとかどうかな?」


慧は、こっちだよーとあたしを売り場内に案内する
< 234 / 419 >

この作品をシェア

pagetop