愛は惜しみなく与う②
身をよじり起き上がろうとしたら、あたしの視界に泉の寝顔が入り込む

なになに?

え?

あたし、泉の上にいるん!?

パッと飛び降りてソファを眺める。
肘掛を枕にして泉がソファで寝転がる。背もたれと泉の間の隙間に、あたしは居たんだろう

え?なんでこんなことなってんの?


時計をみると夜中の1時を指す

何時に帰ってきたん?
紗羅ちゃんの家出たのが、22時くらいやったはず

え?


少しパニックになり、冷蔵庫からお茶を出して飲んでいると、新が部屋から出てきた


「目が覚めましたか?なかなか遅かったですね。私も今日は泊まらせてもらってます」


「あ、それは全然ええよ?あたしなんで寝てたん?記憶がないねんけど」


テンパるあたしをみて、クスっと笑って新は言った


「泉があなたを抱えてさっき帰ってきましたよ。途中で寝たみたいですよ?あなた。バイクの上で」


ええええ!?あたしバイクで寝たん!?危な!
新はそのままトイレに行き、未だにポカーンとするあたしに、おやすみなさいと告げて、部屋に戻った
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