愛は惜しみなく与う②
1人で考えて、もやもやしていた。

杏は突然糸が切れたように眠る時がある。
極度の緊張などから解放されたときに、そうなるんだろうけど…

全部泉がいるとき


「朔?どうしたの?タバコいかないの?」


響がピョコっと顔を出してきた。そうだな。もうテストも終わったし、昼の前にタバコでも…吸うか


廊下を歩いていると、テストから解放されて嬉しそうな奴らと、月曜からのテストに備えて勉強する奴ら

それぞれだ


屋上までの間で響がポツリと言葉を漏らした


「……杏があの女に取られたらどうしよう」

「え?」


立ち止まって振り返ると、下を向く響
杏が取られる?


「女って長谷川か?」


俺の問いにコクリと頷く
そっか……最近響が杏と普通に話せるから、感覚がおかしくなっていた


長谷川…女だもんな


「誰かれ構わず、女ってだけで嫌うのが最低なことだって分かってるんだ。でも…でもやっぱり…俺には無理だ」


制服の裾をギュッと握る響は、泣いてしまうんではないかと心配になる
< 268 / 419 >

この作品をシェア

pagetop