愛は惜しみなく与う②
こう言う時にふと思うんだ


やっぱ俺、杏のこと恋愛対象として見れないやって


思うんだけどさ?


ふわりと杏が離れた時に、ほのかに甘い香りがする。そして…


「2人ともなんか元気ない顔して、教室でていったから心配しててん!」


こんだけ笑えてたら、元気やな!
そう杏は言い、とびきりの笑顔で俺たちを見た


ほら


さっきまで、プロレス技で対抗してくるような、そんな女だったのに。

近くにいなかった俺たちの、少しの変化に気付いて、こうやって探しにきてくれる



それでいつも同じように笑ってくれる



だから俺は、好きなんだ




「好きだよ、杏」



「へ?」

マヌケ面で、こっちを見る杏も、好きだよ
好意に気づかない鈍感なところも…



好きだ





「お前のその、変な色のネイル!俺は好きだって言ってんだよ」


まだ言えないけど



まだ、俺にも平等に向けられる、この笑顔と温かさを俺は失いたくないから



「当たり前やろ!あたしの指先であんたら転がしてるねん!」


ネイルをみてニコニコ笑って、変な事言ってる杏も



好きだ

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