愛は惜しみなく与う②

「杏さんもお久しぶりです!今日は迎えに行けなくてすみません」

「いや、全然大丈夫!迷わずこれたし。な!」


泉はとても道に詳しい。
警察を撒くためには、あらゆる道を覚えておかないとダメだとは言っていたけど。
理由がな…ははは


「親父は?起きてれるのか?」

「はい。先程食事も少しですが済まされて、今はテレビを見ておられます」

「……元気そうじゃん」


ほっとした様子だが、あたしにはあの状態が良くなるとは思えない
白瀬さんの跡をついて、お父さんの部屋を目指す



「杏さんは、組長の命の恩人ですからね!俺からも改めて御礼を言わせてください」


そういえば!と白瀬さんはあたしのことを見て話しだす。命の恩人か…ま、そんな感じやったかもな

「でも若の彼女がこんなに強いだなんて、将来の子供がどんな子になるか楽しみですね」


ん??子供?


「お前の頭は妄想しかできないのか?」

「ひどいなぁ!そんな事ないですよ?組長も杏さんのこと気に入っておられるんで、いいじゃないですか!」

気に入ってる?泉のお父さんがあたしを?
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