愛は惜しみなく与う②
「こちらです」
白瀬さんはドアをコンコンとノックし名乗る。中からはお久しぶりのゴトウさんが出てきた
「坊ちゃんよくお越しになられました。杏さんも」
ついでのように付け足された気がするが、まぁよしとしよう。
ゴトウさんは、泉のお父さんと、泉にしか優しくないらしいから
「ゴトウ。お前も席をはずせ。2人と話す」
部屋の中から病人とは思えないほど、凛々しい声が聞こえた。ん?割と大丈夫そう?
「いいのですか?またこの小娘が暴れたら…」
「ちょいまて!誰が病室で暴れるか!小娘ってなんや!聞き捨てならんな!」
ゴトウさんはあたしを小娘と言った。噛みつくあたしに、せわしないですねぇと溜息
「泉?こいつ殴ってええか?」
「はぁ…後でな?ゴトウ!杏にちょっかいだすな。本当に殴られるぞ」
「この前ナイフを向けられました。殴られるくらい…」
言い返そうとしたら、泉のお父さんは、ガンとベッドの後ろの壁を殴った
「全員放り出すぞ」
ひゃぁーーー!やっぱ組長と言われるだけあるなぁ。怒ったら怖い…