愛は惜しみなく与う②

扉を開けてもこちらを振り向かない少年は
痩せていて、色も白く、髪も伸び切っていた


声をかけても、ひたすらパソコンを叩くだけ


少年が触るパソコンを後ろから見ると驚いた



親父の組のことや、烈火のことが事細かく分析されていた

どこから手に入れたのか分からないが、個人情報でさえも、そちらに記入されていた


パッと部屋の周りを見ると、壁には親父のこと、そして俺のことや、烈火の先輩のこともズラリと書かれた紙が貼ってある



こいつ…


うちの情報を盗んでるのか?ハッキング?


ロボットのように手を動かす少年の腕を引き、パソコンを触らすのを止める


しかし少年はチラリとこちらを向き、またパソコンへ向き直す

抵抗する力は、女の力よりも弱かった



「おい、お前名前は?」


問いかけにも無視して、キーボードを叩く

周りに散らかっている食べ物の残骸



もしかして監禁…されてたのか



灯りも入らない部屋は、パソコンだけ置かれていた
ここで、俺たちの情報を集めるように言われてたのか?
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