愛は惜しみなく与う②
こうして海斗さんに朝方まで捕まり、みんなで倉庫でワイワイした。
『杏様?今よろしいですか?』
「大丈夫やけど、こんな朝からどうしたん?」
みんなが疲れて寝ている時に、あたしは電話で起きた
『……夏休み入る前くらいに、東堂の経営計画報告会があります。蘭様は、出席しろとおっしゃっております』
「経営計画報告会ってなに?」
『東堂の経営方針を、各企業様に向けて発表するんです』
「……あたし必要?」
『毎年…鈴様は御出席されていました』
「うぇだるそー…」
『いや、大丈夫です。断りますよ。元々こう言うことがあると、お伝えするだけのつもりでしたし』
「へ?なんで?さすがに毎年鈴が出てたなら、不参加なんおかしいと思われるやろ。面倒やけどいくよ。いつ?」
『……鈴様の婚約者が、来るかもしれません』
少し間を開けて志木は言った
鈴の婚約者
イコールあたしの婚約者
あたしはみたこともない。どんな人かも知らん。
『実は、鈴様の婚約者とは、私達も誰も会ったことがなく情報がないのです』