愛は惜しみなく与う②


でも、ごめん


「日にちはいつ?」


ごめんな、志木
いつもあんたが嫌がる方向へ行って。
あたしに優しいから。あたしのことなんでも分かってくれてるから

どうしても甘えてしまうねん



『杏!!俺は本気で言ってるんだ!もう後に引けなくなるって言ってんだ。…杏がいなくなるなんて…俺は…』


ブチ




ごめん志木


通話解除のボタンを押して、そのまま携帯の電源を落とした

あんな悲痛な叫び、聞いてられへん


志木は…なんでこんなあたしと一緒にいてくれるんやろうな。
なんでこんな、重い過去を、苦しい未来を一緒に背負ってくれるんやろうか



「ほんま…アホやで」



志木は大馬鹿者や


ほんであたしはもっと、大馬鹿者や…




涙をぬぐう

泣かすな。ここまできて、泣くなあたしも。



東堂の大きいパーティならネットで検索したら多分出てくる。
志木が手を回してない限り


行ったら話が進むのも分かってる。
もしかしたら、長い間滞在しなあかんかもしれへん。

婚約者と会わなあかんかもしれへん
< 309 / 419 >

この作品をシェア

pagetop