愛は惜しみなく与う②
でも、ごめん
「日にちはいつ?」
ごめんな、志木
いつもあんたが嫌がる方向へ行って。
あたしに優しいから。あたしのことなんでも分かってくれてるから
どうしても甘えてしまうねん
『杏!!俺は本気で言ってるんだ!もう後に引けなくなるって言ってんだ。…杏がいなくなるなんて…俺は…』
ブチ
ごめん志木
通話解除のボタンを押して、そのまま携帯の電源を落とした
あんな悲痛な叫び、聞いてられへん
志木は…なんでこんなあたしと一緒にいてくれるんやろうな。
なんでこんな、重い過去を、苦しい未来を一緒に背負ってくれるんやろうか
「ほんま…アホやで」
志木は大馬鹿者や
ほんであたしはもっと、大馬鹿者や…
涙をぬぐう
泣かすな。ここまできて、泣くなあたしも。
東堂の大きいパーティならネットで検索したら多分出てくる。
志木が手を回してない限り
行ったら話が進むのも分かってる。
もしかしたら、長い間滞在しなあかんかもしれへん。
婚約者と会わなあかんかもしれへん