愛は惜しみなく与う②

杏様は強い

私がいなくちゃ無理だと杏様は言うが
杏様はきっと、やるべき事はしっかりできる。

それに比べて私は
杏様がいないなら、もう何もいらない


そこまで思ってるのに



杏様の気持ちが自分に向かないことを知っている


慣れたよ
ずっと好きだったんです


使用人として自覚した幼き頃から


いつだって


杏が好きだった


杏様はいつも私に本気でぶつかってくる。使用人と主人の関係ではなく、対等な立場で話してくれた

一緒に薔薇をつくったあの日も


薔薇の中では、主従関係は無しにしようと杏様が言ってくれた


杏様は私を、対等な立場に置いてくれて、本音でぶつかった



ただ一つ


杏様が困った顔をするのは


私が気持ちを伝える時だけだ



困らせたい訳じゃない
ただずっと側に置いて欲しいだけなのに



どうしてうまくいかないんだろう



杏様が好きな奴を連れてきて、結婚するとなったら、祝える自信がある

むかつくけど

苦しいけど



昔からそう言い聞かせてきた


この人は自分のものではないから。自分のものにはならないから。
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