愛は惜しみなく与う②

おかしいと思ってた
ただあの時は次々に起こる出来事を消化することに必死だった。


杏様しか…杏しか鈴様が殺されたところを見ていない。
杏様を疑っているわけではなくて…
少し不自然な点が多かったんだ



鈴様は……


コンコン


!!


「はい、どなたですか?」

突然部屋のドアがノックされて驚く。
机の上に広げた、独自で集めた情報をまとめた紙をさっと片付けて、ドアに近づく



「志木?2週間後の経営計画報告会の話なんだけど、いいかしら?」


「ら、蘭様?呼んでくだされば、わたくしから伺いましたのに」


まさか部屋に蘭様が来るなんて

机の上は片付けたから、入られても大丈夫だ。扉を開けると、綺麗に着飾った蘭様が居る


杏様によく似ている



「ねぇ、鈴ちゃんはいつ帰ってくる?報告会に間に合うかしら」

「……どうでしょうか。最近連絡取っていませんね。聞いておきましょうか?」

「あら、志木が鈴ちゃんと連絡取らないなんて珍しくない?毎日電話してるのかと思ってた」


ちがうよ、蘭様


私は元々、杏様の執事だよ
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