愛は惜しみなく与う②


泉は空いた場所に杏を座らせて、その前に立つ


杏の両手を握り問いかけた



「このスコーピオンの男を見つけたら、杏はどうするつもりだ?」


「え?そ、それは…」


目をそらす杏に、泉は目を見て答えろと…


「殺したいか?」


「…どうするかは分からんけど、一発殴りたい!それはほんまに思ってる」


「嘘だ。心拍数が上がってる。嘘つかないで?」


優しく包み込むような泉の問いに、杏は目から涙を流しながら答えた




「…殺してやりたい!!あいつの全て持ってるもの奪って、苦しむようにして…あたしの手で殺したい」





それは悲痛な叫びだった


杏の本音


泉は杏の涙を拭いて、黙って抱きしめた




どうしてあげるべきなのだろうか。
私達は杏が傷つくのも見たくないですし、杏に何かあるなら助けてあげたいと思います。


でも、復讐を手伝ってあげれるのだろうか


もし本当に


杏が止まらなかった時


見てられるのだろうか


私にはその辺の覚悟がまだありません。想像することもなかなかできません。


だって、杏を犯罪者にはしたくないですもん
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