愛は惜しみなく与う②

それやったらあたしも安心やし


「ほんと、杏ちゃんって男前だよね」


紗羅ちゃんは慧に、いつも杏ちゃんは、こんな感じなの?と笑いながら聞いている

男前ってのは、昔からよく言われた


「そうだよ?俺も助けてもらったことあるし、杏ちゃんに!ヒーローみたいだよ」

「やめーや、なんか恥ずかしい」


2人を止める
紗羅ちゃんには、あんまり詳しく話してはいない。一応、泉と仲良いから烈火と一緒にいると思ってる

気が強くて、ちょっと喧嘩っ早いくらいにしか認識してないと思う…
東堂のことも、関西で薔薇の総長してたことも


紗羅ちゃんには言えない


巻き込みたくないから



「杏、ちょっといいか?」


振り返ると泉と新が。ちょっと深刻そうな顔
この前のことかな

テスト返しやけど、この学校はかわってて、全教科まとめてホッチキスで留められて返却されるらしい

難しかった問題の解説とか、そんなんもない


「ほな、慧、あたしのテスト貰っといてくれる?」

「うん、わかったよ」


廊下に出る、泉と新の後を追った。
< 376 / 419 >

この作品をシェア

pagetop