愛は惜しみなく与う②
「杏ちゃん!テスト預かっといたよ!」
教室に戻ると慧が駆け寄ってきて、テスト用紙の束を渡してきた
パラパラみたら予想通り100点しかない
うんうん。こんなもんやろ
「朔は?」
テストみてやろうと朔を探すと、教室の片隅に蹲っていた
え…
まさかの赤点?
「ちょ、あんた赤点取っちゃったん?」
朔の肩をガッと引っ張ると、バザバサとテストがあたしに降り注ぐ
??
その紙にはお世辞にも高得点とは言えないが、赤点にはならないような、点数達が書かれている
「だーーーーはっはっは!!みろ!この俺様が、赤点を免れたぞ!!!」
腰に手を当ててふんぞりかえる朔が目の前に立つ
アホやな
ほんま、普通に点数教えてくれたらええのに
「どうだ!みたか!」
ゲラゲラ笑いながら、あたしの顔を覗き込んできた朔
そのツンツンとセットされた赤色の髪の毛を触る
「やるやん!これで一緒に旅行行けるな」
なんやろな
母性ってやつかな?勉強頑張ってたん知ってるし、それが身になってるのは、あたしも嬉しい