愛は惜しみなく与う②
「杏に言わないで?杏の友達だから…」
「お前はほんと、優しいな。杏には言わないよ。極力離すようにするから」
響が言うには、甘ったるい香水の匂いや、真っ赤なグロス。真っ黒の長い髪に、白い肌
それらが怖くて仕方ないようだ
見なければいいが、クラスにいては、どうしようもないし、杏の友達だから酷い態度もとれないんだろう
呼吸がしにくくなり、目眩がする
酷い時は腕や首に蕁麻疹が出る
これはあの事件の後、ずっとそうだった
最近は落ち着いてきていたが…
どうしてまたこうなり出したのか。長谷川が香水つけてるだけでこうなるのか
分からないが…
「あのさ?」
「なんだ?」
「俺の勘違いならいいんだけど、聞いてくれる?」
家について、少し改まったように響は話し出す。相変わらず俺の部屋以外汚いままのこの家は、物音一つしない
「言ってくれ」
そう言うとポツリポツリと話し出した
「長谷川って、引っ越してきたんだよな」
「あぁ?確か…そうだと思うが」
いまいち覚えていない。杏以外の女に気を留めていなかったから