愛は惜しみなく与う②

『無事か?平気か?今どこだ』

「無事かと言われると、なんとも言えへんけど、平気は平気や!どこかは知らん!」


男たちとの距離が詰まってきた



何してると思う?いま

あたし学校の周りくるりと囲ってある塀の上を走ってる
飛び降りたいんやけど、下はアスファルトで流石のあたしも無事でいれる気がしない


から塀の上走ってる

目立ってしゃーないわ


「なんか白い塀の上、走ってる!疲れてきた!」


もう朝から何も食べてへんし!メロンパンも拉致られたときに落としたし

もうお腹すいてしんどい



『杏!赤い建物見えるか?』

「赤ー?んーーーあ!あった!」


ちょうど塀の曲がり角に赤い建物はあった。


『そこまで走ってこい』


へいへい!すぐそこやん!軽く血が流れすぎたのか、ただの空腹なのか知らんけど、フラフラしてきた



下から男たちの手が伸びる


学校の外は、塀が高くなっていて、落ちたら重症


でも見えたんや



赤い建物らへんから




道路側に見えたんや




「飛べ」




< 45 / 419 >

この作品をシェア

pagetop