愛は惜しみなく与う②
『無事か?平気か?今どこだ』
「無事かと言われると、なんとも言えへんけど、平気は平気や!どこかは知らん!」
男たちとの距離が詰まってきた
何してると思う?いま
あたし学校の周りくるりと囲ってある塀の上を走ってる
飛び降りたいんやけど、下はアスファルトで流石のあたしも無事でいれる気がしない
から塀の上走ってる
目立ってしゃーないわ
「なんか白い塀の上、走ってる!疲れてきた!」
もう朝から何も食べてへんし!メロンパンも拉致られたときに落としたし
もうお腹すいてしんどい
『杏!赤い建物見えるか?』
「赤ー?んーーーあ!あった!」
ちょうど塀の曲がり角に赤い建物はあった。
『そこまで走ってこい』
へいへい!すぐそこやん!軽く血が流れすぎたのか、ただの空腹なのか知らんけど、フラフラしてきた
下から男たちの手が伸びる
学校の外は、塀が高くなっていて、落ちたら重症
でも見えたんや
赤い建物らへんから
道路側に見えたんや
「飛べ」