愛は惜しみなく与う②
「やばいね、面白い子だね!」
「頭ぶつけたんじゃね?」
「……なんの夢を見てるんだか」
なんて顔して笑ってんだよ
少し心が苦しい。
いや、泉が杏のこと好きなのは分かってる。
気づかない方が馬鹿だと思うくらい、泉の杏を見る目はとても優しい
嬉しいよ
泉がそう思う子を見つけたことは
当の本人だけ、気づいてなさそうだけど
でも
なんか気にくわない
杏は俺らに何か隠してる。それを分かった上で俺らは一緒にいるけど、泉はその何かを、知ってる気がする
勘だけど、俺の勘は当たるから
2人の秘密みたいなのがあるのがムカツク
俺も頼って欲しいだけなんだろうな
「ほれみぃ。象の圧勝や」
はぁ…
いや、うん
こんなわけわかんない女、嫌だけどな
キリンと象が戦う夢って、小学生かよ
「象は大きいからな」
そんな事を泉は言い、杏の髪を撫でていた
海斗さんは声が出ないくらい笑ってる
キリンでも象でもいいから…
さっさと怪我治して元気に俺らの周りを動き回れよ