愛は惜しみなく与う②
左肩を少し動かしてみると、しっかり腕がはまっていた。よかった
痛む角度があるけど、普通に動かせる


「じゃ、お前ら話あるだろ?俺は家に戻るから、何かあれば呼べ。薬は泉に持たせてあるから」


助さんは、よいしょと言って椅子から立ち上がる。

「あ、ありがとうございます!」

あたしがそう言うとヒラヒラと手を振って部屋を出て行ってしまった


すごいお医者さんやな…


「杏?ごめんな、普通の病院連れて行ってやりたかったけど…保険証とか名前どうなってんのか分からなくて、俺らが使ってる病院に連れてきた」


あ、そうか
あたし保険証は東堂杏のままやった

さすがに名前変えるのって手続き大変やったし、志木が偽装してくれるゆうたけど、犯罪やん!?やしそのままやった


「ごめん、気使わせたな」


みんなにバレへんようにしてくれたんやな

でもなんかあたし、みんなに自分のこと話したいと思った



「東堂のこと、みんなに話す。烈火のことも、もっと知りたい思った。今回のことも…泉の家のことも…。知りたい思った」


それって、皆んなのこと好きやし信用してるし、知りたいってなると思うねん

てことは、皆んなもやっぱりあたしのことそう思ってくれてると思う

やし…



「話せるところは話したい」
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