愛は惜しみなく与う②
その理由が分かった

だからこんなにも…自分のことを話したがらなかったんだ

自分で作ったチームが、自分のせいで潰されるなんて…きっと耐えられない


大事な仲間に、信頼できる仲間に相談した


そのせいでスコーピオンは薔薇を潰しに来たと。


でもそれは…


「杏ちゃんのせいじゃないのに」


そうだ。杏のせいではない。だけど、あいつの事だ。責任は感じるよな
俺でもそう思うし、人に頼ったり、相談したりできなくなる


だから杏はあんなにも、自分で何でもかんでもやろうとしてるんだ

俺たちが頼りないとか、そういう以前の問題だ。



杏は、人に頼ることがトラウマになっている



ベッドで眠る杏は、少女のようだ
俺たちより年上だと言うが、むしろ幼く見える

それなのに


なんて辛い経験をしているんだろう


そんなに辛い経験をしているから、俺の傷も分かって救い上げてくれるのかもしれない



「俺たち…何もしてやれないの?」



響がすがるような目で泉を見る。そうだよな。杏は響のことも救ってくれたもんな



何かしてやりたいよな
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