愛は惜しみなく与う②
響は杏の側に近づいてそう言った
……そこなんだよなー
「妹に高校生活の景色を見せてあげたかったとか?」
慧は、どう?と言ってきたものの、ピンとこない
泉も変わったやつで、2年も高校留年っていう偉業を成し遂げてるけど、杏はまた別だ
卒業してるんだから…
そして気づく
3人で話せば話すほど、頭がこんがらがる
2人もそう思ったのか、勝手に想像するのは、辞めにしよう。そう言った
「朔は…杏に過去のこと話したのか?」
「いや、話してない。なんかそんな事話す空気になった事ねーから」
「そっか…じゃああれだね。話さなくても、杏は朔の痛みに寄り添ってくれたんだね」
響の可愛いスマイルが飛んできた
寄り添うか…
そうだな。
俺は、大丈夫?とかごめんとか…心配して欲しいわけでも、謝って欲しいわけでもない
ただ側で
一緒に悩んでくれて、悲しんでくれて…そんなことをしてくれる人が欲しかっただけだ
「杏は、すげーやつかもな」
自然と笑ってそういえた