愛は惜しみなく与う②

だって、杏は、俺が大嫌いなあの家に帰る、強さをくれたから



「待ってください!」


息を切らして新が走ってくる

「転けるぞ」

「転けませんよ!」

少しムッとして、俺の隣に立つ


「わたしも、一緒に帰ります」


は?
隣の新をみると、しっかりと前を見据えていた


「組を潰すのは、1人では無理です。それに準備もできていない。父さんから聞いた情報では、殆どの人が離反しています。お父上の元に残る人は少ない」


「だから、、俺1人で十分だ。もう3年会ってない。その間にどう変わったのか、どうなってしまったのかも俺は知ろうとしなかった」


そうだ。怖かったんだ。噂でたくさん聞いたから


紅蓮と再びもめた時、親父は薬をさばいていた。その辺の奴らに、俺も薬を売ってくれと頼まれたこともある。
そうやって今、親父がしていることを理解した


あぁ、そんなことに手を出してるんだなって


それから家には一切帰らなくなった。
律儀に親父の付き人は、金は振り込んでくれるため、金には困らなかった。

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