愛は惜しみなく与う②

車は発進して、病院から遠ざかる


「若?」

「なんだよ」




「好きな人できたっしょ!!!」


はー?
突然なにを言いだすんだ、こいつは。

白瀬とも電話はしていたが、会うのは本当に久しぶりで、特にプライベートの話はしない


「男が嫌なことから目を背けずに行動できる時は、女のためっすから!」


眼をキラキラ輝かせる白瀬
すこし図星のような気がして、目をそらす

あ、やっぱり!女だ!

と喜ぶ白瀬を無視する


そうだよ。




杏のためだ。いや…
杏のためというか、何もできない自分が嫌だから、行動しているのかもな


「若は、組長とは何年会ってませんか?」

「さぁ、3年くらいだと思ってるけど。薬に手出してから一度もあってない」

「若は組長が嫌いですか?」

「ふん。当たり前だろう」


何を今更。そう思って白瀬の顔を見ると、いたたまれない気持ちになった。

なんて顔をしてるんだよ


白瀬の顔は、笑っているが、目は泣きそうな目をしていて…


胸が痛くなった
なんだよその面は

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