愛は惜しみなく与う②
「3年って、組長が薬に手を出した時期。そして今日、若は組長に会う決意をしてくれました」
…何が言いたい?
しっかり両手でハンドルを握って、白瀬は前を見据える
「若?貴方に話さなければいけない事があります」
その声は、白瀬から聞いたこともないような、真剣な声だった
「ゴトウさんと、一部の上層部しか知らない話です。貴方の父上に…組長に口止めをされています」
「…何だよそれ。俺にも口止めしてたのか?」
親父が…俺に口止めする話?一部の上層部しか知らない話?なんだよ
少し手が震えそうになる
なんだか嫌な予感しかしない
「組長は、最後まで口止めをしていて、言ったら殺すと俺たちは言われてます」
はははと白瀬は笑う
そこまでして…口止めすること?
俺は今日、杏のために、杏をこれからも胸を張って守るために…
親父に会おうと決意した
そしてそんな俺に白瀬は何か大きな話をしようとしている
ただでさえ、少し緊張してるのに、この車の中の雰囲気に耐えられなくなってくる